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失う恐れと戦う

ビジネスマンとしてのジョセフは、想像以上に厳しい人でした。
とても前向きで上昇志向が強いのです。

同じところに安住することを良しとせず、
常に過去の自分を越えて行きたいと願い、
ビジネスパートナーの私にも同じ態度を求めました。

私は自分を大切にするのなら、
もっと自己主張をして、
これ以上はできないときっぱり宣言すべきでした。

それができなかったのは手にしたものを失う恐れからでした。
どうしても、どうしても、どうしてもほしいと、
夢にまで見たジョセフのプロモーターの地位でした。

やっと手に入れ、ノウハウも蓄積して、
成功させる術もわかったのです。

咳ごときで失いたくはありませんでした。

手に入れたくて必死に動いていた時に感じていた高揚感は、
いつの間にか失う恐れに姿を変え、
私は自己主張するどころか、
むしろ先回りしてジョセフの願いを叶えようと努力しました。

2018年春、名古屋と京都両方で
コア・アクティベーションを開催しました。

気づけば最初3週間でスタートしたジャパンツアーは、
この春には6週間と長くなっていました。

プロモーターの数やアシスタントの数も次第に増え、
打ち合わせだけでもたくさんの時間とエネルギーが必要でした。

漢字というものは実によくできているなと思うのですが、
「忙しい」は心を亡くすと書きます。

充実の日々はいつか忙しい日々へと変わっていました。

あれほど夢見て、やりたくてたまらなかった仕事が義務と化し、
一方ではアロマボイジャー、おそうじ風水など、
やりかけのプロジェクトが中途半端なまま置き去りになり、
ストレスが増えていきました。

短距離走のペースでマラソンを走り、
同時に頭を思い切り使ってチェスをしている。

そんな状態だったと思います。
余裕がないので時々パンクしては心優しいアイナスタッフに癒してもらい、
なんとか壊れずにギリギリのところで維持している、
そんな危うい状況が続きました。

「あれほどあった情熱は、いったいどこに行ってしまったの?」

問いかける日々が続きました。

そんな時、身体からのメッセージを聞いてみると、
答えはいつも
「自分を大切にしなさい」
でした。

失う恐怖と戦いつつ、
私は再度ジョセフに提案しました。

「年1回の開催にしませんか?」

ジョセフは厳しい表情を崩さず、
いつもと同じ答えを繰り返します。

「お客様の変化を責任持ってサポートするには年2回が必須だ」

「年1回の開催ではリズムができないのでそれはできない」

期間を短くしてほしいと頼めば
遠くから来ているから4週間では足りない、と却下され、
休みたいと言えば、
「休んで再開する保証はないよ」
「休めば君の仕事もゼロからになって大変だと思うよ」
とはね返され、まるで壁と話しているようでした。

仕事が多くて大変と言えば、大変だと思っているから大変になるんだと、
お約束の精神論に終わってしまう。

そしてもう来なくてもいいのかと問われる。

そんな状況に私は震え上がってしまい、
もう何も言えなくなってしまいました。

期間を短くさえしてもらえたらなあ……
来日の回数を減らしてもらえたらなあ……
半年か一年、休ませてもらえたらなあ……

成功の美酒を楽しんでいい状況でそんな後ろ向きなことを考え、
私の心は次第に歌わなくなっていきました。

とはいえ、ジョセフが来日すれば相変わらずうれしいですし、
セッションで参加者の皆様が変化、成長される姿にも
毎回新鮮な感動を覚えます。

ツアーがなくなるのはイヤ。
でも疲労感はひどくなる一方。
どうしよう?と葛藤しました。

考えをクリアにしてくれたのは親友でした。

「えみぃは自分の人生をジョセフに明け渡しているのね」
「それで本当にいいの?」

こんなことを問われたのです。

それは初めてジョセフに出会った頃、
亡くなった姉が夢の中で問いかけてくれた言葉とよく似ていました。

親友は、ただ私がジャパンツアーの話をした時の
疲れた様子だけを手掛かりに問いかけてきました。

「かなり疲れていて辛そうだよ、なぜ続けるの?」
と問うのです。

私は続けることもやめることも怖く、
どうしていいかわからなくなっていたのです。

「いつまで続けるつもり?」

親友の声が頭の中で繰り返し聞こえました。

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