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ジョセフ・ミナ登場

その朝、私は波と戯れて、とても楽しく遊んでいました。
仲間が貸してくれたボディボードで波にのるチャレンジが面白く、
夢中になっていたのです。

ですから、
「えみぃ、ジョセフの講座が始まるよ」
そんな声が聞こえた時は、
ちょっとがっかりして、渋々海から上がりました。

ビーチの木陰にはすでにマッサージテーブルが用意され、
引き締まった体のスラリとした男性が、
穏やかな微笑みを浮かべて立っていました。

まずは自己紹介。
ボイジャータロットという、
美しいブルーのカードを全員が一枚ずつ引きました。
私が初めて引いたカードは
「教皇」でした。

真ん中にブッダが描かれたこのカードは、
実際に経験したことを分かち合う教師のカードです。
今思えば
「君はボイジャーを教える人になるよ」
と教えてくれていたのかもしれません。

次に体の叡智がどれほど素晴らしいかの講義がありました。
ジョセフの話は例が豊富でとてもわかりやすく、興味を引かれました。

「今、地球は大きく変化している」

「パソコンもアップグレードをしなければ時代に取り残されてしまう」

「体のエネルギーもしっかり調整しなければ、変化の波にのることはできない」

まずはそんなお話しがありました。

火災報知器を壊すかのような現代医療、
というお話しも印象に残っています。

「体はとても賢いので生き方が魂の道から外れていると、
不調や病気を作り出して気づきを促す」
「ところが現代の医療は残念なことにそのメッセージを聞くことを怠り、
火事を知らせる火災報知器がうるさいと
機械を叩き壊すようなやり方で、症状をストップさせることに集中している」

当時、私は肩こり、目の痛み、胃のムカムカ、イライラ、落ち込みなど、
様々な不調に悩んでいましたが、
それが魂のメッセージだと思ったことは一度もありませんでした。

マッサージや鍼に通っては、なんとか楽にしてもらおうとしていたのです。

午後はヒーリングのデモンストレーションが行われました。
順番にマッサージテーブルに上がり、ジョセフのワークを受けます。
残ったメンバーは周りを囲み、変化を観察します。

「ほら、この人は足の長さが違うよね」

「でもここをこう触ると、ほら、そろったよ」

「呼吸を見て。今は胸までしか入っていかないよね」

「でもこのポイントをこうするとほら、腰の方まで入っていくよ」

数回のタッチ、わずかな時間で体が柔らかくなったり、呼吸が深くなったり、
バランスが整ったりするのを見て、この人は魔法使いかなと思いました。

そしていよいよ私がモデルとなる番になりました。

マッサージテーブルに仰向けになって横たわっていると、
ジョセフが唐突に問いかけます。
「5歳の時、何があったの?」
ジョセフの指が胸の上を滑ります。

触れるか触れないかという程度の軽いタッチなのに、
体の奥から何かがぐっと引き出され、
トゲを抜かれているかのように痛みが走ります。

同時に激しい恐怖が襲いかかり、
仲間に見られていることも忘れ、号泣してしまいました。

感情を追いかけるように音と映像がやってきます。
雷、稲妻、揺れる大地。
「怖い。誰も助けてくれない」
孤独と無力感に心が閉じていくプロセスをとてもリアルに体感しました。

一体これは何だったのか。
5歳といえばアフリカのコンゴにいた頃です。

何があったのか、あとから母に確認すると、
一人で留守番していた時に近くに雷が落ちたことがあったとのこと。

頭の記憶からは消えていても、体はしっかり覚えていたのです。

「もう嫌だ。どうしてこんなところに来たのだろう」

ジョセフがどこかに触れるたび、
後悔、恨み、悲しみなど、さまざまな感情があふれ出ました。
涙が勝手に流れ、なかなか泣きやむことができませんでした。

エネルギーが見える友人は、
胸からシャボン玉のようなものが次から次へとあふれ出し、
海へと消えていくのが見えたそうです。

デモンストレーションでのわずか10分程度のボディワークが
私の体に大きな変化をもたらしました。

固く閉じていた心のトビラが開き、
眠っていたパワーがどんどん出てくる。
そんな体感があったのです。

目を開くと、世界がまったく違って見えました。
ハワイの海、砂、ヤシ、光があまりにまぶしく美しく、
色あせた写真が色彩豊かなカラー版にかわったようでした。
深い眠りから覚めた。そんな感覚……

生まれてから一度も感じたことのなかった幸福感がそこにはありました。
「私、生きてる!」
その感覚はとても新鮮で、またまた涙があふれました。
夕日を見ては泣き、仲間の優しい言葉で泣き、
花の香りに泣き、美味しい食事で泣きました。

幸せすぎても涙は出るものなのですね。

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